いや本当。
多分寝ぼけただけなんだろうけど。
しかし本人的には本気で恐怖だったのですな。
というわけでちょっくら新耳袋風に再構築してみませう。


【笑う女】

Fさんから聞いた話である(といっても私がFさんだが気にしてはいけない)。
Fさんがそれを最初に聞いたのは、両親が旅行に行っている夜のことだったという(自分のことのくせに伝聞調だが新耳袋風を意識しているので気にしてはいけない)。
家に自分が一人きりという開放感もあって夜更かししたFさんは夜中の2時ごろ風呂に入った。湯船につかってぼうっとしていると、ドアの向こうの脱衣所から
「ウフフフフっ」
という女の笑い声が聞こえてきた。
大声ではなかったが、はっきりと聞こえたという。
両親がいない家には今自分しかいないはずである。Fさんは一瞬緊張したが、回りを見回してみれば浴室の窓が半開きになっており、その向こうは自転車を置く狭いスペースの向こうはすぐ道路である。そこを通った女性の声が浴室内で変な風に反響し、すぐ隣の脱衣所からしたように聞こえたのだろうと思った。
そしてそれきりそのことは忘れていた。

数日後、両親が帰国した。
そしてまた数日経った夜中のことである。

その晩は少し蒸していてFさんはなかなか寝付けなかったそうである。仕事で疲れていることもあり早く眠ろうとは思っているのだが、両親の旅行中に夜更かし癖がついたかなかなか眠れない。それでもなんとか眠りに落ちたのだが、午前3時半頃、ふと目が覚めた。
これは朝に弱いFさんにはかなり珍しいことだった。
まだ眠れるかな……と思いつつ再び眠りにつこうとすると、トントン……と壁の向こうの階段を歩く音がする。Fさんや両親の寝室は2階でトイレは1階にしかないのだが、上っているのか下っているのかいまいち判別がつかぬ音だったが、Fさんはなんとなくその足音が2階に向かっているような気がした。
親がトイレにいって戻ってきたのかな?と思ったそのとき、
「フフフフ」
足音とともに女の笑い声がした。
ぞっとした。

Fさんは暫くじっとしていたが、我慢しきれなくなって電気をつけ、大急ぎで友人にことの顛末を携帯でメールしまくったという。
午前3時半にメールを打ったのも、午前4時に他人に電話をしたのも初めてだとFさんは笑った(というか本人的に笑うしかない)。

Fさんは風呂場での笑い声はあまり覚えていないのだが、階段から聞こえた笑い声は「フフフフ」と「ヘヘヘヘ」の中間音のような、少し壊れたような笑い声で、嫌に気味が悪く感じたという。
足音だが、両親のどちらかなら自室に入るためにドアを開け閉めするか襖を閉じる音が聞こえるはずなのに、その後いくら待っても何の物音もしなかったという。階下のトイレのドアが開く音も勿論聞こえなかった。

笑い声も気味悪かったが、その後の沈黙がひたすら怖かった、とFさんは言う。


というわけで、まあ十中八九寝ぼけたのだろうな。風呂の件も結局夜遅くでかなり眠かった気がするし。夢の途中から目を覚ましたという意識がないまま現実にスライドしてしまったのだろうと思う。
でも当時は怖くてねー。
病に臥せるハムスターに心の中で「師匠!!」と助けを求めまくるほどそれはもう(いや藤生さんは本気ですよ)。
そして「このいやんな出来事をなまあたたかいうちに誰かにお届け!!」と携帯でメールしてしまう程に。
朝になって見てくれればいいなと思ってメール打ったのに(時間がわかるように3時半とかちゃんと書き込んでまで打ったのに)、速攻Rんのさんから返事がきたのも吃驚だったが。電話までしちゃったしねぇ。その節はありがとうございました本当にもう。
その後、6時半までワタクシ爆睡。窓全開、朝日入りまくりの部屋で。人間そんなもんだよねぃ。
ちなみに師匠は病の身なのに電気をつけたら餌をくれると勘違いして起きだし、引き攣った笑いを浮かべる飼い主に付き合ってがさごそぼりぼり音を立ててくれました。
「こんなことに怯えているような不肖の弟子を置いては逝けないっちゅ!!」とか思ってたらごめんねぃ、師匠。私琵琶弾けないしさ……

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