今更いうのもなんだが藤生はお化け話が好きで

そんな藤生が今日も今日とて仕事を定時にあがってロッカーで私服に着替えていたところ、斜め後ろの方々の会話が、
「うちのアパート、やっぱりおかしいみたいなんだよね……」
「そういえば変な音鳴るって言ってたよね」
それは近所の部屋に賑やかな方がいるということでしょうかそれとも立て付けが悪くて軋むということでしょうかそれともラップ音で
「うん、夜になるとピシッピシッって音が天井からするの」
それは気温・湿度差により建材が軋んで音を出すかラップ音か
「それに、お客さんとかいないときでも、部屋に誰かいるような気がするし」
はっ！話が楽しげな方向に捻じ曲がって参りました。それはあれですね、友達がきたらベッドの下をチェックしてもらわなければなりません。すると友人が青ざめた顔で外に行こうと誘うのでついていくと『ベッドの下に鎌を持った男がいた』ということに。いや夜寝苦しくてふと目を覚ますと布団の脇に白い服の女が立って自分を見下ろしていたという心霊コースの方がこの展開は適切ですね。さあさあそれでどうなるのです、藤生は着替えが終わってしまうではありませんか、とっとと話すのです。
「でも他にこれといって変なこととかないんでしょ？」
「あるの！金縛りによく遭うし！前の部屋ではあんまりなかったのに」
ほうほう。
しかしあんまりということはたまには経験しているのですな。藤生、夜行列車金縛りでもうおなかいっぱい二度と経験したくありませんが。ああ、もう自分コートを羽織ってしまいました。あとはマフラーをまいて、よいしょっと。
「あとは、つけておいたテレビが勝手に消えたり！オフタイマーとか設定してないのに！」
リモコンは確認したでしょうか。テレビ本体は壊れてないでしょうか。うちのテレビは最近唐突に画面だけ映らなくなり音声しか出なくなる謎の現象を起こしますが。でもそんなつまらない理由のわけがありませんね、だってラップ音で人の気配で金縛りです、あとは蛇口を捻ったら血のような液体とか風呂場の排水溝に大量の女の髪の毛とか窓ガラスに映る顔とか――ていうか買い換えたばかりの頑丈な鞄も持ったし失せろ自分。
会話はまだ続いていたのでなかなかに後ろ髪引かれたのだが……

そして先ほど何気にやふーにゅーすを見たら“「切れば祟る」桜 工事に待った”という記事http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20020116-00000506-yom-sociが。
道路工事で伐採予定だった桜の木に地元民も忘れかけていた不吉な伝説があることが発覚。急遽工事ルートを変更したとの話。
日本もまだまだ捨てたものでは（本当か）