オリーブオイルと紅茶とリンス

テレビで入れ知恵されたらしく、母が言い出した。
「紅茶がリンスのかわりになるんだって」
「へー」
そう、何気なく流していた藤生だったが。
「まずオリーブオイルを髪になじませておくんだって。それで、髪をあらって、リンスしないで、そのかわりに煮出した紅茶をシュッシュッってするんだって」
「ふーん」
やっぱり適当に流していた藤生だったが。
それを何階も繰り返されると流石に不吉なモノを覚えるわけである。
母よ、何かを狙っているね？！
そういえばうちにはあと僅か瓶に残っている半端オリーブオイルが。
「それでね、紅茶をシュッシュッってしたら、流さないで、そのまま乾かすんだって」
「……やってみれば」
「あんたがやってみてよ」
そういうと思ったんだ、ママン……
「自分で試せばいいじゃん！！」
「お母さんは今日は髪の毛洗わないの！！」
洗えよ。
いいから。
「いいからあんたやりなさい！！ほら、オリーブオイル！！」
そうして家庭内権力に敗北した哀れな藤生は実験台というか人身御供というかに。
「ところでお母さんこのオリーブオイルは直ぐ洗っていいの？」
「いや、少しなじませておくみたい」
「少しってどれくらい？」
「忘れた」
ははははははははははははははははははは！
ざけんなよママン……
結局紅茶を煮出しつつテレビを見てる内に1時間ほど経過。
さあ洗ってみませう。
ああああああ、オリーブオイルでまったりした髪が洗っても洗ってもまったり。
……リンスしないからこれでいいのだろうか。
もう3回もシャンプーしてるけどまったりしてるし。
そして煮出した紅茶液を、スプレーがないので、てきとーにちょみっとづつぺたぺた。
てゆーかこれ茶渋だと思うんだが。いいのかそれでいいのか。
よーく髪に揉み込んで、タオルで拭き拭き。
あああタオルが茶渋色に。
手櫛で梳かしつつドライヤーをかけると、案の定きしむんですがママン。
でも、ブラッシングをきちんとして、完全に乾いてみると、を、意外とさらさらかも。
でもね。
普通にシャンプーとリンスした方が全然楽だって…