彼は乙女ちっく。

2000年10月30日
隣の代理は基本的に外回り。
なのに今日の午後は珍しく社内にいた。
暇らしい。
いや、内にいるならいるで、やらねばならない仕事は結構あるはずなのである。でもやる気がないらしいのである。デスクにてんこ盛りの書類の山を右から左に移動させてスペースを確保すると、おもむろにノートPCを開き、立ち上げたのはインターネット。
ああ、ネットサーフィンね……まあアナタのお客さんIT関係多いから、客先調べてるんです〜って言えばごまかせるもんね……と横目で見つつ、藤生、上司に頼まれた書類のプリントアウトをよいよいのプリンタで行う。
「ねぇねぇ、藤生(仮名)さん」
「はいなんでしょー」
「生年月日、いつですか?」
あん?
とーとつに一体なんですかと思いつつ、隣のモニタを覗き込むと、そこは占いサイト。
「……何やってんですか代理」
「いや、占いをやろうかと」
「自分でやればいいじゃないですか」
「だって自分でやって悲惨な結果が出たらいやじゃないですか」
ちょっと待てやあ!そんならハナからやるなっつーか、私なら悲惨な結果がでてもいいんかい貴様!!
心中シャウトを押し殺し、藤生は笑顔で
「……何占いですか?」
「姓名判断です」
しかもすでに名前の欄には藤生の本名が打ち込まれている。
いらない所で手回しのよい男、T.K(別にコムロとは何の関係もない)31歳。こないだまでちょっぴりやばい事件に巻き込まれ、公的権力に呼び出されたりしてへこんでいたが、最近やっと手が切れたらしく、妙にご機嫌である。
なんか脱力して、藤生、生年月日を教える。もう気分は勝手にしといてくれである。
「おお!藤生(仮名)さん!藤生(仮名)さんの名前っていいトコばっかですよ!いやあ、いいなあ羨ましい!!」
なんかよーしらんが、どーやら結構いい結果らしい。
いいからはよ自分のやれよおっさん。
「えええー、でもこれで僕の悪かったら最低じゃないですかー、いやだなぁ、どうしよう……」
だからイヤならやるなっちゅーねん……
てか仕事しろってばさ。
それでもうだうだ言いつつやっちゃう代理。暇なんである。
「うっわー、僕悪いじゃないですかどうしようねえ藤生(仮名)さんどうしたらいいでしょううわぼく40代で死ぬかも真剣に」
「………………代理、占い信じたりしてるんですか?」
「いやー別に信じてるってほどじゃないんですけどー、気になるしやりたいじゃないですかやっぱー」
と言いつつ、何故か別の姓名判断のページを開いている代理。
「何やってんすか?」
「いや、こっちだったらもうちょっといい結果が出るかなーと……」
我思うにアナタの名前がT.Kである限り結果は大して変わらないと思うが如何に。
そしてやはり大して変わらないんだなこれが。
そして良い結果がでる占いを求めて、占い検索サイトをブックマークしてまで渡り歩くか三十男。
そして必ず先に私のデータを入れて結果を確認してから自分の占いをするか三十男。
「うわ〜僕、5年後に×▽□子さんて人と巡りあえて、その人が運命の相手らしいです〜」
……てか妻子持ちだろう三十男。
2時間はそうやって遊んでいただろうか。
「僕の職業適性魚屋が一番らしいです。どうしましょう」
……なればいいんじゃないでしょうか。

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